均衡/葉leaf
冬は果樹農家にとって農閑期ではない。冬は、古くなった果樹を伐り倒したり、新しく果樹を植えたりする季節でもあるし、剪定の季節でもある。だから、伐り倒された樹を運んで薪として使用するために割る作業や、細い枝を畑で燃やす作業に追われる。薪運びと薪割は私の仕事であった。畑から運搬車で薪を運んできて、家の裏手にある木小屋の前に空いたスペースに薪を降ろし、木小屋から細長いシンプルな造りの薪割機を引っ張ってくる。この薪割機はエンジンと薪を置く部位と鋼の楔からなっている。薪を低い胴の上に載せ、先端の壁のようなところに押し当て、レバーを倒して楔をゆっくり薪に進入させる。すると、薪は木の素性に従って、少しずつ
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