人と蛇の寓話/まーつん
奴の腸の暗がりに
安穏として
息づくようになった
歩くことのない足は
互いに張り付いて
一本の尾となり
伸ばすことのない腕は
胴に溶け込んで
その名残すら残さなかった
やがて、この口には牙が生え
下水管のげっぷのような
おくびと、囁きを
漏らすようになった
陽の当たらない
私の心には
色のない藪が茂り
透き通った花が咲き
影の様に寒い実が結ばれ
その果実を
踏み割ってみれば
邪な想いが転がり出てきた
それを食べた私の口は
暗い知恵を湛えた
アドバイスを
蛇の心に向かって
漏らすようになった
今や新たな蛇となった
私のこの
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