人と蛇の寓話/まーつん
な体に、麗しき容姿
欲望の奴隷となって
己が為にのみ
立ち働く私の心は
瓶の中の果実のように
徳の芽を吹くこともなく
腐り果てていった
蛇はその牙の毒で
抗う良心を麻痺させて
長い身体で絡みつき
長年のうちに、ゆっくりと
私という存在の善なる部分を
窒息させてきた
今の私には、
最早抵抗する術もない
そこで仕方なく、こう答えた
゛ならば約束通り
私を飲み込むがいい
そして明日からはお前が
私のふりをして
表の世界に出ていくのだ
なぜなら、
私の魂の半分は
この生き様の中にあったから
お前は私に成り代わることで
甘
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