人と蛇の寓話/まーつん
 
ともない
その奸智が、いかに巧みに編まれるか
私は身に染みてわかっている
老獪な策略家にして
暗い欲望を呼び覚ます
背徳への誘惑者



かつて
貧しき家に生まれ
惨めに砂を噛み
世を恨んだ私の耳に
蛇の声は囁いた

゛屈辱にまみれたお前の生を
 私の導きに預けるがいい
 憎しみを力に変え
 欲望を奸智に変える錬金術で
 飢えた胃袋に肉をやり
 暗い心を栄光で照らし
 孤独な身体に夜伽の相手を
 貧しき掌に黄金を
 望み得るすべての幸いで
 その生涯を飾ってやろう ゛

餓えた若い心は
抗う術を知らず
それに従い、歩み始めた

頑健な体
[次のページ]
戻る   Point(6)