空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
んなわけないがな。」
「え?」
「嘘やがな・・・」
  にんまり笑って、草刈さんは助平な顔をした。ぼくは、ずっこけだけでもきかず、後ろ向きにでんぐり返りしてしまった。そして草刈さんは、またぺたぺたとトイレに向かって行った。楽器からこぼれるように言葉を吐きながら。
「わしのばあちゃんのクシャミは、ぱーぴーぷー。」

  ぺろよんの共同のリビングに行くと、テレビとビデオデッキが置いてある。本棚には松本零士の漫画『男おいどん』や、色あせて黄色がかった週刊ポストが置いてある。相当古い。あと、村上春樹の小説『ノルウェイの森』などがあった。どちらかというと、ぼくの生き方は男おいどんのように不器用で
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