空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
まあ、ええけどな。」
その瞬間、臭すぎる草刈さんの屁ぇーが匂った。ぼくの鼻から入り、肛門を通り過ぎる感じになった。なんか発酵というか、たぶん草刈さんは、半分腐っているのだろう。この匂いすら運命だったのだろうか。
草刈さんは、くっくっくっくっと笑っている。たぶんぼくが匂いに堪える微妙な表情を感じとったのだろう。
そしてすっと、先輩の荒島さんを思い出した。荒島さんも、屁をこいて、人が嫌がると嬉しそうにしていた。
「満員電車でさ、屁ぇーするのがさ、一番楽しみなんだよ。周りの人がね、ほら、ちょっとだけ後ずさりするんだけど、ラッシュは、ね、ほら、身動きとれないだろ?」
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