オフサイド ビッチ/末下りょう
 
ヤリマンの彼女から移されたクラミジアを抗生物質が死滅させた日の午後、十八のとき付き合っていた彼女が中絶した日の午後の寝顔を思い出した。

その彼女が二度目の妊娠をした時ぼくは二十だった。もう産婦人科に付き添うのも拒絶され、中絶の為の費用だけを銀行から振り込んだ。それ以来彼女とは会っていない。数年前にヤリマンの今の彼女と水族館に行った時、あの頃の彼女に似た人が小さな男の子と手を繋いでペンギンを見ているのに気づいて、隠れるように慌てて逃げた。男の子の横顔と彼女の横顔はよく似ているように思えた。

今ぼくはいつどんな性病にかかっても構わないし、いつ子供が出来ても構わないと思っている。でもヤリマン
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