拾参憑き姥(ぼ)の暦うた/salco
 


皐月やつれてはちにち目
裏庭ついばむ碁石の軍鶏(シャモ)が
蹴爪一閃青を裂き
繕いの手止め葉蘭の闇を聞く

水無月なぬかで拾参だ
梅雨が来ぬ間のキンポウゲ
夢枕ゲエトル解けば骨の見え
青梅のシアンの核も頼もしや

文月さかしまろくにちで
びっこの小姑ご新造いじめ
癇癪持ちの似た者よしみ
黄縞の蜂に二度刺されませ

葉月いつかのイデオログ
意固地けちんぼ中風(ちゅうぶ)の舅
生け恥さらしが生き腐れ
〆さば中って下しませ

長月よっかは櫛の目に
ぞろり抜け毛が秋(とき)報らす
懐くも否も継子の憎さ
ぢごくへお遣りと曼珠沙華


[次のページ]
戻る   Point(6)