味噌漬けと詩集/夏美かをる
 

折り紙とハローキティのノート二冊
丁重に包まれて
一番底に収められていたのは
鮮やかな瑠璃色のカバーを纏った冊子
私が頼んでおいたもの

旦那は?You don't have to come.?と言って
子供達を連れ、自分の家族に会いに行った

私は大根の味噌漬けをお茶漬けにして食べながら
その良質の詩集をひも解く

娘達が生まれて、もう故郷には戻らない覚悟をし、
色々なことを諦めてきて…

十四回目のクリスマスイブに辿り着いた
味噌漬けの素朴な味と
美しい日本語で彩られた珠玉の連なり

娘達は異国の言葉をより流朝に話し
夫は私の国の文化に関心を示そうとし
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