味噌漬けと詩集/
夏美かをる
としない
この家の中でも 外でも 日本人は私だけ
だけど私は日本人を辞められない
はるばる海を渡って来た
ひとかけらの味噌漬けと一冊の詩集が
こんなにも優しく私のDNAを慰めてくれる限り
添えられていた手紙には
『私も体があちこち弱ってきたけど、なんとか一人で暮らしています。
どうか、アメリカで幸せになって下さい。それだけが私の願いです。』
と筆ペンで大きく書かれていた
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