ワールドエンブリヲ/ゴースト(無月野青馬)
 
らんでいた
自分の心が未完成なのではないか
だから
真実が分からないのだと
自らを懐疑した


自らへの懐疑を引き摺ったままの今日
学校帰り
「私」は
電信柱の影で
多分100回目の、強めの憂鬱に侵蝕されて
うずくまってしまった


「私」は
強めの憂鬱の侵蝕に耐えながら
時の経過を待っていた
強めの憂鬱が迫って来る時には
いつも母親のカレーパンの味を思い出すようにしていた


強めの憂鬱が「未完成の私」を侵蝕した
ちょうどその時
そのタイミングで
「私」は
骸骨みたいなニンゲンとすれ違った
骸骨は
今から思うと
彷徨える「パン職人」

[次のページ]
戻る   Point(4)