ワールドエンブリヲ/ゴースト(無月野青馬)
だったのかも知れない
電信柱の影で
うずくまる「私」とすれ違った
「パン職人」は
脳内で自分だけのエンブリヲ追討計画をこねくり回していたのだろう
頬は痩けていた
髪は乱れていた
死神の風貌だった
そのまま遠ざかって行った
「私」は
骸骨みたいなニンゲンは父親みたいで嫌いだったから
そのまま
骸骨が行き過ぎるまで
うずくまっていた
憂鬱な気分だったけれど
母親のカレーパンを思い出し
少し完成度を増した
「私」は
立ち上がり
電信柱から離れられた
「猫」を誰が殺したのかを
改めて考え直していた
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