ワールドエンブリヲ/ゴースト(無月野青馬)
か
時々は泣いたりしていたのだろうか
店の裏は
「猫」と見習いの小宇宙だったのだろうか
パンを粗末にしていなかったなら
そのことだけなら尊敬してもいいと
「私」は思ったりしていた
「猫」は寝転ぶことが好きだった
体中の蚤が死ぬし
ニンゲンの臭いも砂が消してくれるから好きだったのだろう
「私」は
不思議なものだと思っていた
「猫」に痒みをもたらす蚤の小ささは
不思議なものに思えた
蚤は死んでも死んでも
また生まれて来る
「猫」はまた痒くなる
でも、また、寝転ぶから蚤は死ぬ
それでも蚤は生まれて来る
「猫」にとっても不思議だったに違いないと
「私
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