ワールドエンブリヲ/ゴースト(無月野青馬)
 
めたい


店頭に
モロクの祭壇みたいな
スモー・ケーアが並んだ日
「パン職人」は姿を消した


「猫」がいた
「猫」は
自分は「世界」の中の蚤にすぎないと思っていたに違いないと
「私」は自室で推察していた
「猫」は
時々
「私」の家に招かれることもあったが
長居はしなかったと
「私」は
再確認していた


把握しただけで
餌場は21ヵ所もあった
10年前には
今は潰れている一軒のパン屋を餌場の1つにしていたらしい
そのパン屋の店員がよく売れ残りを与えていたそうだ
「猫」の記憶の中の
店員はパンをかじりながら
時々空を見上げていたのだろうか
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