ワールドエンブリヲ/ゴースト(無月野青馬)
 
ただけで終わった


本当は
パンなど焼いていたくはない
「パン職人」は
自分を
ワールドエンブリヲを防ぐ戦士なのだと
自認していた


「世界」の侵蝕の阻止に
関われないことは
「パン職人」にとっては
絶望の極致
糖類を絶ってベンチプレスを日にキッカリ1000回繰り返してきたのに
何処からもエンブリヲ追討の依頼の声が掛からない
それは
許せないことだった


「パン職人」は
自分の手を
外洋へ向けたい
生地をこねる手とは訣別したい
外洋へ出て
迫り来る侵蝕を食い止めたい
目を犠牲にしても
脚を犠牲にしても
自分の手で
エンブリヲを止めた
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