ない日記の感想/渡邉建志
 
苦しい。みんなペダンティックでありたいだけだ、とH君が言った。でもあの人は違うんだ、と言った。わたしはJDを読んでいないので、何とも言えない。いま手元に彼女が送ってくれたJDの「対話」の原著がある。そろそろ手をつけなければならないな、と思う。彼女について書くときには、どうしてもフランス語を介する必要があるはずだ。あの人が通り抜けた森を通り抜けなくてはならないと思う。彼女が生きるということに密接につながり続けて、息苦しい生きぐるしい生を走り抜けている間は、わたしもそれを追いかけていたいと思っている。わたしはまたしても、生身の人間として彼女を見ておらず、生ける文学作品のようにとらえている冷たさなのかも
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