ない日記の感想/渡邉建志
 
ない。そしてそれは幻想を生んで、羽ばたいていく。



文を終えないこと、と書いても、それが何の意味もなくて。あの土地にいる間、彼女は知的であることをやめたのではないか、感性に任せて生きていらっしゃったのではないか、といつも思う。あるいは知性と感性のものすごく危ういバランスのなかでなんとか保たれている、ような。子供のような目をして、なにかを追いかけて、走っていて。



読んだときにきこえた深い深い夜はいまはきこえずに。寒い12月24日に即興で歌い、即興で踊ること、ピアノ室。たぶん木でできていて。地下で。寒くて。でも人々は温かくしていて、ピアノを弾いて、聴いて、踊って。 くち
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