ない日記の感想/渡邉建志
ってくるのがそこだけだったので。厚着をして、マフラーをして、ほぼ外といえるその階段で、読むことを止められずに、夢のなかにいるように読んだ。一番最初から読んだのはそれが初めてだった。ずいぶんの変化があって、わたしが読み始めた夢のようなねじれは最初にはまだなかったのですこし意外だったのを覚えている。
+
彼女の書くものを読むときにいつも夜の冷ややかな空気と、そのなかでの少しの温かさを感じるのは、その温かさは人の肌の温かさではなくて、もっと精神的な、ひかりだった。いつも夜寝る前に書いていたから、とあの人は言った。ええ、その空気をいつも感じて読んでいました、とわたしは言った。わたしが読んでい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)