七見ヶ桜駅前/凛々椿
 
うない。
喫茶芝生には、そのソープランド夕楽の元オーナー、スガワが通う。
芝生のオーナーは三代目のマン・キヨコ、スガワよりも17才年下の64才で、
休店日の火曜日には二人が手をとり町をデートする姿を見ることができる。
二人の間には子供が二人、
長女は5人の母親の傍ら、マカオのリカーショップのワインソムリエをつとめる。
次女ミユは今も17才のまま、町の教会墓地に眠っている。
喫茶芝生の道を抜け、谷田橋を渡った先にはベーカリーもものきがある。
店主のタケイ・ヨウは朝2時に寝床を抜け、5時には至高のブレッドを焼き上げ、
軽やかな朝の匂いを川面にみたす。
7時に、新しい朝が来た、という
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