あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
た。僕らは最高にハイになって手を叩きあいながらフー! ヒョー! おめー! と思いつく限りの祝福の言葉を叫びあって、宇宙船のてっぺんによじのぼり踊る縄を普通の縄でひっとらえて、宇宙船の先端部に鐘をくくりつけ、宇宙船をそこらへんの空に上下に飛ばして鐘をリリンゴンと鳴らし、バスタオルでドレスをつくって嘘の結婚式をパーッと挙げた。祝いの花火でついでに隕石を撃ち落として世界を救った。こんなに幸せで果たして良いのだろうか。
だが残念なことに幸せはそんなに長くは続かなかった。僕のもとについにヘリコプターが届いてしまったのだ。ポストにも庭にも入り切らないお届け物を前にして僕は途方に暮れた。道路に置きっぱな
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