あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
ぱなしにしておいたら近所の人に怒られてしまうじゃないか。もう、乗るしかないなんて。僕の耳にビリビリビリリリと紙を破き続ける音が止まらないんだ。ビリビリリリビリ。また紙吹雪が降ってくる。書いても書いてもビリビリリリリ。字が書いてあるぶん白紙よりひどいじゃないか。ヘリに乗るということは、誰かに撃ち落とされるかもしれないってことだ……マミユミコちゃんのように。
僕があの日、チョコボールで撃ち落とす羽目になった出会い頭の運命のように。
マミユミコちゃんは僕の家の前にあったヘリコプターを見てかわいそうに泣き出してしまった。彼女は僕を心配するあまり最悪の事態をいくつも想像しすぎて絶望し、喚いて暴れ
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