あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
 
ちいさい体のくせにビクともすることなく、操縦桿を握っているのだ。
「だって降ろしたら貴方はここから落下してしまうのに。ねえ、どうか聞いてください。照準器の向こうにあるまだ見ぬデート先がたとえ地球の裏側の裏側の裏側の裏側であったとしても結果的には、ここが到達地点です。今居る此処こそが貴方の認めがたい未来の行き先であり過去の帰結であることは目を背けられない圧倒的な事実なのです。なぜ悔やんだり紙をビリビリ破かなくてはいけないのです。青空が見えなくなっても構わないのですか。あのとき右腕なんかもぎとってくるんじゃなかったなんて自分を責めたって私の体の真ん中に走った線は消せませんし貴方の過去の照準だってずら
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