あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
望的未来というものは。その萌芽というものが。その欠片は、実際、可能性としてはほぼ無いかもしれません。ですが希望というのはそういう当たりか外れかといったものでは無いんだと私は思ったから貴方を鈍器でひとおもいに殴ったのです」
やはり僕は彼女に殴られたのか。
マミユミコちゃんとは厳密には別人なんだろうけど恐らく近似的存在である彼女に、鈍器のようなもので殺されかけるなんてすごく悲しい。僕は泣いた。
マミユミコちゃん2はハンカチで僕の涙を拭いながら、咳をして言葉を続ける。
「貴方が引っ張ったのはどうして私の左腕であったのですか。どうして私の右半身では無かったのでしょうか。私は同居する大きな私に
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