あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
 
ビリキンコンカン。そんなに悲しい顔をしないでください。自暴自棄にならないでください。未来は空の向こうにあるとどうして信じられないのですか?」
 少女はそっとガスマスクを外して、真ん中に線が入っている顔で僕を見た。マミユミコちゃんとよく似ているけどやっぱりかなり小さいのだ。
 マミユミコちゃんその2は、息苦しそうにゲフコッホンと咳をして、にこりとかわいらしく笑って僕にガスマスクをくくりつけてきた。ケフンカフン。まだ咳をしている。
「貴方の握り締めた狙撃銃の照準器の、十字架が交差する一点の遥か彼方に、たぶん間違いなくおそらく非常に低い確率で存在しているに違いないのです、私たちを狙い定める、希望的
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