あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
る。彼女は僕のことをまだ、ちゃんと覚えてくれているんだ。すべてを忘れてしまっても僕への愛だけは忘れないでいてくれるなんて、なんて可愛い子なんだろうか。だがヘリはマミユミコちゃんを地上に置き去りにして浮かびあがり空へと向かっていく。僕は僕の頭を膝上に乗せている人物の顔を確認しようと頭を上げた。ごついカーキ色のガスマスクを被った端正な目元の少女の顔がそこにあった。マミユミコちゃんの同居人と同じ水色のノースリワンピースを着ているようだ。彼女はヘリをさらに上昇させながらシューコ、シューコと激しく呼吸していた。僕は不安が止まらなかったので彼女に聞いた。「このヘリは一体何で飛んでいるの」
空にはたくさ
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