あの日覗き込んだ照準器の十字架Destiny/北街かな
をまたごうとした瞬間、頭のうえに鈍器のようなものを振り下ろされた。僕は暗闇に落ちた。
相当痛かった。
闇の中で苦しみを訴えながら手足をじたばたさせているうちに、ビリビリビリリリという懐かしい音を聞いた。僕はヘリの中に運び込まれたらしいが視界は暗闇だし他に感覚らしい感覚も得られないからまだ気絶しているといってよいだろう。ドンドドドンという窓を叩くような音がして、びっくりしてやっと目を開けると、僕の頭は誰かの膝の上に乗せられていた。僕の体はヘリの操縦席に横たえられていた。というか折り曲げられてぎゅうと押し込められてた。ヘリの窓からは窓ガラスを必死に叩いて何か叫んでいるマミユミコちゃんが見える。
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