エロ本曼荼羅/鯉
うにおれたちの周りを走る程度だった。やつらが近づく度にジップロックに入れたマシーンをそっとコートの上から抱き締める。ちょうどエロ本を拾った帰りの男子中学生だ。 こういう誰も外に出ないような嵐の日に、少ない友達と自転車を走らせて、団地のゴミ捨て場を漁りに行った。しとどに濡れた紙の手触りをなるべく広げないようにエロ本を握ると、かえって滴が方々に付いたのを思い出した(毎回、女の顔と性器は、濡れた紙でどろどろに崩れていて、仕方がないから別のところを使う他なかった)。そういえば男子中学生に彼女は刺激として成立するのだろうか。おれは勃起する自分を中空から眺めてなるほどとつぶやく。まだ見つからないの、とおれが言
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