想像上の動脈/北街かな
 
隙間からそのまま地上へと零れ落ちていくばかりだ。銀色の路面がぼろぼろにひび割れて土がすっかり見えている路面には、赤錆の欠片とと星の砂がすこしだけ積もっているが、昼過ぎには風に乗ってどこかへと吹き飛ばされてしまうだろう。

ぼろぼろの浮き橋を、耳の折れたウサギと、頭に輪を浮かべたリスと、透明なネズミと、よたよたした金の蝶々が渡っていく。宝石のような小動物のむれが、空の橋の修繕工事を続けている。僕はずっと、くちをあけて赤錆を食べ続けている。

ずっと、僕を飼っていた人のことを考えていたんだ。その人のなかには赤い液体が流れていて、この赤錆と同じ味がしてたんだってこと僕は知ってる。だから僕は、暗い
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