想像上の動脈/北街かな
。
錆には、星の砂の味が混じっている。
頭上には錆びた鉄の橋がよったりと架かっている。ビルだったものとビルだったものをなんとなく空で橋渡していて、もう移動には使えないくらい古びてしまっている。虫食いだらけの橋板のあいだからは針みたいな青い空が覗ける。そいつを眺めながら僕は歩くのをやめて、しばらくぽかんとくちを開け続けた。
くちのなかに錆の砂が落ちていく。
錆の味がする。僕を飼っていた人が動かなくなったとき、目から流した赤い液体の味とおんなじだ。
星の砂の味もする。その人は時々、こんな味の透明な液体も、目からはらはら流していたんだ。
どうして目からそんなものが流れてきていたのだろう。赤い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)