波の下の月/まーつん
 
それでも離れようとしない
 少年の意識が とうとう
 途切れかけた時

 五

 その時 月は
 輝くバターのように溶けて
 黄金色のライオンに
 姿を変えた

 少年は
 風に波打つ
 光のたてがみに
 顔をうずめて
 蚤のように
 ちっぽけだった

 ライオンは
 首をめぐらせて
 しがみつく少年に
 がおうと吠えた

 突風のような咆哮に
 吹き飛ばされ、
 思わず手を放し、
 声をあげて目を開くと…

 六

 いつの間にか
 静かに揺蕩う波の上
 仰向けに夜空を見上げて
 ぷかぷかと浮いていた

 耳元でささやく
 
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