波の下の月/まーつん
 

 流れるように踊っていたし

 別の星では
 見渡す大地を
 埋め尽くす花々が
 声を合わせて
 歌っているのだった

 少年は
 しがみつく腕に
 ギュッと力を込める

 ゛
 ねえ、お月さん
 あなたが
 空に帰るとき
 僕も一緒に連れてって

 こんな世界には
 うんざりなんだ
 いがみ合う大人にも
 踏みつけられる子供にも
 だから、僕も連れてってよ
 あなたの帰るところへ
 ゛

 息が尽きかけ
 気が遠くなっても
 月に張り付いたまま
 離れようとしない

 心配する
 イルカの嘴が
 裸の肩を優しく突いた
 それ
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