波の下の月/まーつん
 
な禿げ頭

 無数の魚たちが
 その光の上に
 黒い影を泳がせていた

 月の輝きを背にしたら
 鯨でさえも、小さく見えた

 三

 全身浴にうっとりと
 眼を閉じて、月は微笑む

 釣り上げるには
 大きすぎるし
 持ち上げるには
 重すぎる

 空に還るよう
 説得を試みようにも
 少年の声は、小さすぎる

 でも、まあいいか
 これもまた
 美しい眺めだし

 一晩くらい月も
 羽を伸ばした方がいい

 世界中の人々の
 願い事や、問いかけを
 毎晩のように浴びるのは
 どんな星にも荷が重い

 水の底で、また
 気持
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