家族の散文/左屋百色
う
な気がしていた。勝手にそう思い込ん
でいた。父の記憶はない。わたしの2
つ下の弟が生まれてすぐ離婚している
から。母には感謝はしているが好きで
も嫌いでもない。ただどこかですこし
距離をおいていたかもしれない。わた
しは短大を卒業して就職してからひと
り暮らしをはじめた。母は一度だけ泊
まりに来たが母と詩について話したこ
とは一度もない。いや一度くらいはあ
るかもしれないが記憶にない。
母が亡くなった後に聞いたのだが意外
にも弟は母と詩についてよく話しをし
たらしい。わたしは友達や母や弟にも
(しーちゃん)と呼ばれていたのだが弟
が言うには、しーちゃんは詩と
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