家族の散文/左屋百色
 
詩とか興味
なさそうだからと母がよく言っていた
そうだ。記憶がはっきりしない。わた
しはずっと母に冷たく接していたのだ
ろうか。

母が亡くなってもうすぐ一年経つ。今
わたしは母の詩をよんでいる。そこに
はわたしや弟のこともかいてある。わ
たしは、はじめて自分の詩を母によん
で欲しいと思った。いや、もうずっと
前からそう思っていたのだ。なぜなら
今はっきりとした記憶をひとつ思い出
したから。

わたしが小学5年生の時。

いつも急に部屋に入ってくる母は
(しーちゃん、何やってるの?
そう言ってノートをのぞき込んできた
わたしは慌ててノートを手でかくし
(、、、宿題。
そう一言だけつぶやいた

でもね、お母さん
わたしあの時
詩をかいていたんだよ

お母さんみたいに


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