風のオマージュ その5/みつべえ
 
が(笑)。「かれは走る/かれは走る」の疾走感もいい。ここは後半の「かれははねあがる/かれははねあがる」と対になって躍動する感じ。ワクワクする。「二十世紀なかごろ」は1950年頃? いやあ、古いなあ。でも言葉はちっとも古びていない。

 人類の歴史が 二千年とは
 あまりに 短すぎる
 あの影は なんという哺乳類の奇蹟か?
 あの 最後に部屋を出る
 そのあとで 地球が火事になる
 なにげなく 空気の乳首を噛み切る
 動きだした 木乃伊のような恐怖は?
 かれははねあがる
 かれははねあがる
 そして匿された変電所のような雲のなかに かれは
 まどろむ幼児の指をまさぐる
 
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(5)