シュレッダー/マクベス
そこは巨大ホームセンターだった。
「わたしは・シュレッダーを・さがしている」
近くにいた店員を必死の思いで捕まえそれから彼の耳元で三回も叫ばなくてはならなかった。
周りの喧騒は思った以上に激しく私のか細い声など簡単に掻き消されてしまう。どうやらここは混沌の最前線のようだ。大量の物資を抱えレジを目指す人々の長蛇の列、母と生き別れた子供の鳴き叫ぶ声。上空からは何度も繰り返される拡声器を使ったお決まりのプロパガンダが、床では44口径主砲を搭載していない戦車「ショッピングカート」が車輪の轟音を響かせ我が物顔で駆け巡っている。更に悪いことに今私のいる場所は猫科犬科の猛獣たちが虎視眈々と解放の瞬間を伺っ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)