雨/アマメ庵
んでいた
ぼくは彼のために消毒液と 新しい運動靴を買った
彼は笑った
そして 彼は泣いた
春も 夏も 秋も 冬も
ぼくは身勝手に歩き回り
彼は着いてきた
いつしかぼくは 彼にザックを任せた
彼は重たいザックを担いで やっぱり笑った
雨の街道を歩いているとき 急に手首をつかまれ 強く引かれた
ぼくは転んだ
彼も一緒に転んでいた
彼がつまずき とっさに手を掴んだのだった
二人ともずぶ濡れだった
彼が持っていたはずのザックも 水溜りの中に転がっていた
ぼくは 怒った
どうして引っ張ったんだ
一人で転べばいいじゃないか
ザックも着替えも濡れてしまったじゃな
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