ふたたび、レヴィナスのイリヤ/はなもとあお
 
<ある>が、目覚め
無数の死者たちの声にならない声が、ある、となって「私」に詰めよる

<ある>が、触れてくることへの恐怖
<ある>のなかで生き、責任をとれるものとして、残されたことに対する
重みが
世界として、ある、ということ



そんなにも「私」を責め続ける
戦争というものがもたらす
無、と、ある、を
愚かにも、まだ、繰り返すというの



あたりまえに、ある、ことが
ありがたさ、ではなく、苦痛に変わる
不幸な視線に埋め尽くされる
戦いの嘘を
ある、ことがもたらす、意味のなかで
理想をもって積みあげてきた人生を
無意味なものにしてしまう

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