水の言葉、結晶の音/水町綜助
ぬれた、ある夜
日めくりはなんども
なんどもめくられた
だれかの喉をくぐった水
だれかの産毛をふるわせた音
そんなことがなんどもなんども続けられた
水路は
いつだってそこにあって
空から落ちるみちもいつも
東京の街はいつだってつながって
何かと何かをつなげているから
会いに行こうとすれば
いつだってだれにだって
だから
水滴となって伝った
街の中へ
河へ
まだ流れ込むことはせず
水にたまり
結晶をとかしたくて
必ずでも
偶然でもなく
ただ選んだ
甘い水
かげろうのような
なつのまえに
ただ、選びました
とかすことと
とかされることを
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