水の言葉、結晶の音/
水町綜助
とを
夏の中
いつか夏に分かたれた
からだを
とりもどすことを
もし選んだのなら
もう
夢中になって
崖から落ちてしまうのを
救わなくていい
選んだことなら
夢中になって
崖から落ちてしまうのを
救わなくていい
しなる稲穂の
カーブのような腕で
白い、手
やわらかく握り
花が咲き、散るさまの
微速度撮影のように
ゆっくりとわらう
確かではない
記憶に焼いた
目線と俺の目を
いま確かなものに
じっと見ている
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