水の言葉、結晶の音/水町綜助
ているのを見ている
水に溶ける結晶のかげろうをみながら
砂糖のあまみ
ざわざわと
風に揺れる畑から
少年の持つ鎌で
伐り出されたトウキビ
ぎりぎりと絞られた
甘い水は
晴天の下で
起きた恋にわすれられ
つちけむり舞うあぜ道のうえ
渇き、分かたれた
水と結晶は
青く抜けた空の下
流れながされて
雲は水
街は結晶のようなビル
それぞれ
東京の街をかたどり
水は流すことばを
雲の中に描け
構築していく音に
結晶はひらめけ
まだ僕は水ではなく
君は青いシートにくるまったまま
雨の中
雨にうながされて
つかの間結晶のかけらに
水滴を灯し
ぬ
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