冬に花火はやらない/一尾
 
ないから死にたいと叫ぶ娘にお前が愛しているのは象徴としての私でしかないから虚しいだけだと説明している図は振り返ると結構ホラーで身が縮む


せいちゃんの手を放すと決めた時それでせいちゃんが死んでも構わないと思った私が生きのびるためにそれは必要な手続きだったせいちゃんのために破滅なんてしたくなかった私は私が可愛く最早悪人として生きようと思った次に足を掛けるときもう私は転びたくなかったせいちゃんが死んだとしてもそれはせいちゃんの自己憐憫だと思った寧ろ死ねと願った
せいちゃんは時々私を殺したがり私を殺す物語を作って話したその眼はきらきらと輝いていて私自身家に帰った時玄関でせいちゃんが包丁を持って
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