冬に花火はやらない/一尾
 
って微笑んでいたらどうしようかと本気で怯えていた時期もあったのだが時折見る夢の中では常に私の方がせいちゃんを殺していた彼女が振りかざした包丁を奪い取り私はせいちゃんの心臓を一突きして抉ったその後何故かキスをしている



せいちゃんのために破滅してあげなかった私は多分優しくなかったけれど
もう誰の沼にも晒されたくないんだごめんね
せいちゃんのためにあった私の心の部分はもう全部擦り切れてしまったから
あなたの為に揺らす心臓が私にはもうないよ



冬に花火はやらない
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