冬に花火はやらない/一尾
 
したけれど結局花火はしなかった
冬になるたびに花火の約束を思い出す


本当はせいちゃんが固執しているのは「私的なもの」であり私自身でないことはよく分かっていたせいちゃんが好きなのはせいちゃんのために振り回され血を流しボロボロと零れていく強そうに見える存在でありそれは恐らく外から見える私の枠組みだっただからせいちゃんが私のことを好きだというたびにとても虚しい気持ちになったせいちゃんは自分の為に破滅してくれる存在を人生において求めていた自分の為に破滅してくれるなら私でなくても全然よかったのだろうと思うしかし彼女にそれを伝えると泣いて怒っていた私のことが好きでどうしようもなくでも一番になれない
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