200円のコノテーション/飯沼ふるい
された、遠距離の弾痕が
報復に出る時間
パナマ帽が排水溝でくるくる回っているのも
突飛に躍り出た、夕方の仕業
コーヒーに脈打つ水紋は
郷里に暮らす誰かの不幸を報せている
これもまた、震え
表面から渇き
内部から濡れる
まだらに弛緩した涙腺が
裏切りを作用して、
コーヒーの色を黒くする、
景色もろとも排水溝へ垂らす、
過去が水平に流れていく、
さよなら、さよなら
あらゆるものがある、雨
あらゆるもののために、雨
濡れそぼった
語彙が読めない
品書きも、ニュウスペイパーも
それらの文字が渇いた時が明日だ
手垢もすっかり消えて
真新しい文字が浮かんでい
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