200円のコノテーション/飯沼ふるい
 
でいることだろう

その通りだ、
我々は時間の懐に忍び込み
自壊するだけで
比喩のように繰り返す瞬き
裁断された映写機の映す夢
発火する幼い鱗粉、その閃光の突端で
胡桃のように落ちていく午睡
弓なりに撓る一秒を深くする全ての胡乱
あなたでも、私でも
ない、
そのような感覚の内に
母胎を見ている

だからいいか
恋人たちよ
お前らの姿はもうないが
よく聞くがいい
残り数行の詩文として終わろうとする私の
影こそ、君らの醜い歯並びでありまた
繋がれた指先を交感しあう熱でもあるのだ
そしてこの情けない終わりを
笑え!

「お客さま、料金が200円足りません」
「あ、ごめんなさい」
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