空舟は希望する(うつおぶねはきぼうする)/こしごえ
ネームプレートがひっついている(自分では読めないところ。
あああきらめたりしません低空の深呼吸
白黒写真を脱したシンメトリーにことづけを
たのんでおいた
沈黙の羽も透けて交叉点をわたる自動ピアノ
初めて
呼ばれた
時を
繰り返す、繰り返す最後まで
伯母の六女に鳩時計が知らせる
いちど限りの、産声は虹の
影の境界に気づく
― 君のことは忘れないよ
かたちの無いてざわりだぴったりと
仄明り
うすまる
どころか、こくなる、影の、影つなぎ
あわされ、た だただあちら
河の岸に咲く零雨
白い微笑微笑一輪
浮かぶ
鏡は
雲の上へ円く終ぞ落ちない始
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