(最終回)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
しい、たのしい、
アーヤはわざと三回言いました
それからしんとして宙を見つめなおしました
ひかりは粉のようでした
粉はみんな夜のマヨネイズです
風がひとふき過ぎ去りました
けれどひかりの粉は風に流れませんでした
マヨネイズたちはまあるい芝生に満ちたままでした
あ、パン、
アーヤが声をあげました
パンがなくなっていたのです
ヤンおばさん、パン、パンがない、ヒョウスケくーん、
ふたりが立ち上がりぐるりを見回します
ヤンおばさん、ヒョウスケくん、いるよ、ヒョウスケくん、いる、
ヒョウスケ、
ヤンおばさんがちいさな声で叫びます
ヒョウスケくーん、ヒョウスケくーん、
アーヤ
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