(最終回)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
 

ーヤがからだをぐるぐる回しながらヒョウスケくんを探します

あ、おっとっとっと、

アーヤは目を回して倒れてしまいました

ヤンおばさんの靴が目の前です

倒れたアーヤに声をかけないヤンおばさんをアーヤは見上げました

それからヤンおばさんの靴先のむこうに目をやりました

ちいさなひかりがふたつ芝生のうえにありました

倒れたまま見つめているのでどのくらい遠くにあるのかわかりません

それはとても近くにあるようにも見えました

ふたつのひかりがあのジャムとバターの瓶だとわかったからです

ふたつのひかりがふたつの瓶のなかで光っています

アーヤは倒れたまま顔をヤンおばさんに向けました

あ、

ヤンおばさんの頭のうえ高くに見えていた満月がきえたのです

けれどあたりはひかりにあふれていました

ヤンおばさんのかすれた声が聞こえました

アーヤは思わずふたつの瓶のふたつのひかりに目をうつしました

ふたつの瓶からひかりがあふれて揺れていました

おとなとこどものかたちをしたふたつのひかりが瓶からあふれて揺れていました
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