思春期/飯沼ふるい
 
交差点で立ち止まる
君の肩に
桜の若枝が
撓垂れていた

あたらしい通学路に
あたらしい微熱が
恥しげに
淀んでいた

火葬場の匂いのこもる
鉈の重さの
春に


 赤から
  青へ
 信号は
  点滅します
 点滅します


白線に沿って歩きはじめたのは
生え初(そ)めた
柔らかい鈍色の筆跡
つまり
君のかたちを奪おうとする
あたらしい性感帯と
もはやそこに
隠れ場の無い
たましい、ということばのぜったいてきな
嘘。


君はまだ無能を知らず
季節は老いていくのをやめない
それらを臨む
町の視線の終点にさえ
永遠ら
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